
ラフマニノフのピアノ協奏曲の全容を知るには最適です - ラフマニノフのピアノ協奏曲自体の進化の歴史を感じつつ、アシュケナージのこの作曲家に対する敬虔なる思い入れが充分に伝わってくる2枚組。まだまだ曲の端々に未熟さ・若さが残るものの、ラフマニノフ独特の抒情さを感じることができる第1番。古くから映画のBGMに使用されるなど、交響曲第1番の酷評を見事に払いのけ、現代でも圧倒的高い人気を誇る第2番。全4曲中、最もダイナミックな曲の展開とロシア臭さを満喫できる完成度の高い第3番。演奏に最も技巧を要するであろう前衛的な第4番あまりにも感傷的で素敵な曲・演奏のために、一気に全曲通して聴けてしまいます。個々の演奏にはアシュケナージとハティンクによる新盤やリヒテルやホロヴィッツ、クライバーンなどの歴史的名演もありますが、同じ面子での質の高い全曲演奏を通して聴けるという大きなメリットがこの盤にはあります。
アシュケナージの最高の名盤 - 70年から71年にかけて、アシュケナージが33歳の時に録音したものです。84年から86年にかけて、ハイティンク&アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とも再録音していますが、私はこちらの録音の方が優れていると思います。新盤のハイティンクの共演もいいのですが、この盤でのプレヴィンの伴奏・協奏ぶりは巧みで名人級です。アシュケナージの演奏そのものは、新盤の方が老練さも加わって優れているかもしれません。作曲の悪い?4番を上手く聴かせる所などは。しかし新盤はあっさりとしています。本盤を録音した当時は、まだ旧ソ連と闘っていたのです。ラフマニノフの音楽に対して鍵盤を通して打ち注いだ熱い情念・情感が感じられます。
指がついていかないけれど熱い想いの伝わる演奏。 - 何度も録音していることからもわかるけれども、アシュケナージがこの曲に特別な思い入れを持っていることは確実です。しかし、どうやら指がついていかない箇所が多く(手が小さいため指が届かず中途半端な打鍵になる)、そのたびにぎくしゃくしてしまいます。私も昔は大好きな録音でしたが、いろいろなピアニストの演奏を聴くと、技術面では大きく見劣りすることがわかってしまいます。ただ、テンポの取り方やフレーズの呼吸の仕方などはとてもスムーズです。楽譜を見るとわかりますが、ラフマニノフの協奏曲はテンポが激しく変化したり、変拍子のようになる部分があり、センスの悪い人が弾くと歌いまわしが不自然になるのですが、アシュケナージはそういうことがありません。とても自然な語り口でラフマニノフとロシアへの熱い想いを紡いでいく演奏は、やや拙い技術をものともしないほど感動的です。
うーん、やはりいまひとつ。 - アシュケナージ版としては、私もハイティンク&アムステルダム・コンセルトヘボウとやったときのほうがずっといいように思えた。もっとも、ラフマニノフのPコンについては、やはりホロヴィッツに止めをさすと思う。特に第3については。うまいんだが、協奏曲になるとなぜかいつも物足りない。
安心して聞ける演奏だけど - アシュケナージは素晴らしいピアニストの一人だと思う。オーケストラ共に安心して聴ける演奏なので初めてこの曲を聞く方でも満足出来ると思う。けれど私は色々なアシュケナージ作品を聞いている為これが彼の中の一番には思えなかった。というのもせっかくアシュケナージのピアノの音を楽しんでいるのにオーケストラが一緒になるとせっかくの名演が聞こえにくくなる時がある。(ピアノ協奏曲だから仕方ないのですが)アシュケナージのはやっぱりソロ作品がすきだ。もちろんこの盤での両方の演奏、ほんとに素晴らしい。名演のいくつかに入る部類だと思うので聞いてみるべし